匠の一冊

このワードを聞くと、あの通販か!と思われる方は多いかもな、有名どころです。この他にもTVCMでおなじみも「モノタロウ」なんかも現場で使う部材関係では利用することもあります。ですが、あえて今日、「匠の一冊」を取り上げるのは、「建築現場特化」という側面ではおそらく他の追従を許さない、独走状態では?というイメージがあるからです。

以前のブログでもテーマにしましたが、「たすき掛けの筋交い問題」というのは、耐震改修工事において解体後に発見される問題箇所として多数あります。

また、古い建物の場合、和室の設えが多く、抜本的な耐力壁を設ける場合には、真壁の部分に筋交いを配置する必要も出てきて、その際にはたすき掛けの筋交いを相掛けにする必要がでてきます。このとき、相掛けした部分については、表裏両面に金物による補強を施さなければ、たすき掛けの筋交いとして耐力があるとは認められません。

新設する場合には一旦見えなくなる面の金物を取り付けてから筋交いを入れ込んで、室内側の金物を取り付けることで対応できなくはありませんが、既存の場合には壁の向こう側の面も壊さない限り対応ができません。

また、筋交い金物も真壁が片側だけの場合には、なんとか、相掛けしたたすき掛けの筋交いで対応できますが、両面筋交いですとある程度の柱の太さがなければ対応ができません。

従って、和室の多い古い建物の耐震改修工事では、この金物設置にまつわる苦労が絶えないわけです。

さて、匠の一冊の話しにもどします。匠の一冊で扱われているこれらの建築金物は、ほぼ販売されているものすべてをカバーしています。おそらく、扱っていませんというのは、よほどの特許絡み、認定絡みの金物だと思います。実は、現在、耐震改修工事を行っている大工さんから、どうしても和室の壁の部分で納まりがつかないのでこれを解消するための金物として、岡部株式会社の「ブレスターX」を使いたいという要望がありました。

以前も使用したことがあるのですが、筋交い金物もセットで使うことが要求されることから、筋交い金物である、ブレスターZ600が確実に納まるか?というのがクリアできる条件になります。今回、それができると判断できましたので使うわけですが、それがわかったのが解体直後であり、工事の日数も非常に限られていることもあって、このブレスターXとZ600の納期が問題でありました。

福井の金物屋さんには、この金物を常時在庫しているところはありません。いや、あったら教えてほしいくらいです。だれも普段から使うような金物ではありません。当然、在庫はもちません。注文から相当日数がかかるわけで、それまで工事が止まってしまう可能性すらあります。

この問題が発覚したのが金曜日の夜。手配は土曜となりますが、土曜日は休業のところが多いです。楽天にしろ、アマゾンにしろ、その販売店の大半は土曜、日曜お休みです。土曜日に発注しても実際には月曜日になってから手配となりますので、そこで初めて納期もでるわけで、もしかしたら早くても水曜、遅ければ最悪週明けになってしまいます。

これは通販全体に言えることですので、匠の一冊でも同じだろう・・・と考えていたのですが・・・・

匠の一冊のサイトの右上にこんな記載が!!!

「※土曜日12時まで」で即日発送ってわけです!あとは在庫状況だけです。

(※ブレスターZ600には右用、左用がありますので、同じものを筋交い×2買えばよいわけではありません。結構、注意が必要です。)

一般的な通販ですと、メールで問い合わせです。ですが、建築現場では時間が勝負なところがありますので、電話で対応できるという部分が鍵になります。匠の一冊では一応、電話番号の公開もありますので、そちらへ連絡して在庫状況を確認することにしました。

すると、ブレスターZ600は、なんと匠の一冊で在庫があるとのこと!ブレスターXのほうは、メーカー直送になるんで月曜日に手配して納期回答するとのことで、即、ポチリました! 電話では耐震改修工事中の現場であわてていることをお伝えしましたが、それを考慮していただけたようで、その後のメーカ発送の連絡も直接いただき、本当にありがたかったです。そして、本日、まずは、ブレスターX600のほうが届きました。

土曜の午前中に手配をかけて、週明け月曜日には段取りができるという、このスピード感が現場では必要なわけですが、匠の一冊さんは、この点を十分に理解されているようで本当に助かります。DX時代への対応とか、Eコマースとか、とかくネットなどの利用で「合理化された動き」が常識ではありますが、「急ぎの対応」というのは現実社会ではあるわけです。このあたりをしっかり踏まえていただける販売店さんは、建築業界にとって非常に重要な存在になると感じています。

タイトルとURLをコピーしました